「おかもち」の存在
…「かつては田植えあるいは稲刈りといった野外作業の際に用いられた。今日では特に出前に用いられる」(ウィキペディアより)
ある方が昭和喫茶店で休憩していた時のこと…
新聞か雑誌かの取材を店主が受けていて、店の歴史を店主が説明するのに「おかもち」が平成生まれの記者さんには通じていなかったそうだ。
また、たくさんの「おかもち」が並ぶ伊勢屋さんでラーメンを食べている時、「インターネットで売るからそこのおかもちちょうだい、と若いお客に言われた」という話を店主から聞いて驚いてしまいました。
たしかに今ではめったにお目にかかれない「おかもち」。その昔そばやうどんなどの汁物でも、スクーターに「おかもち」を載せてこぼれないように上手く出前してくれたものです。
また昔はどこの喫茶店にでも「おかもち」はあったのではないかと思われます。
店の電話が鳴り、「○月〇日〇〇時から会議があるのでミックスジュース20人分お願いします」と出前の注文がくれば、おかもちにたくさんの数がはいるよう細長めのグラスを使用して、えっちらおっちらと、運ぶ。
早すぎても氷が溶けてくるし、遅れるなんて言語道断。
約束の数分前に届くように配達します。企業の会議の出前は、注文数が大口であるうえにお客に飲食する場所を提供しなくてもいいという好条件で、喫茶店には切っても切り離せないサービスです。
店の近所の事務所から「来客なのでホットコーヒー2つね」だの、「孫の友達も家に遊びに来てるからソーダ3つね」「お腹すいたからイタリアンスパゲティもってきてくれる?ミックスジュースもね」など、小口でも出前はほぼ日常的に浸透していました。
ペーパーナプキンを三角に折って出前用にスプーンをくるんだり。
食べ終わったお皿は綺麗に洗って、ドアのふもとに置いてくれていますので頃合いを見計らって取りに伺います。
ホットコーヒー、アイスコーヒー、ミックスジュースなどが数十人単位で注文が受けられる、いい時代でした。
不景気になり、企業も縮小され、会議での飲み物はオフィスコーヒー。事務所での商談はインスタントコーヒー、孫たちが来たら缶ジュース…出前の需要がなくなってきました。
ところが、「オスロ」さんではお昼時の食事の出前が多くてママさんはおかもちを持って配達に大忙し。肉体的に大変だとは思うのですが、まだそういう文化が廃れていなくてなんだか嬉しかったです。
「コトブキ」さんにもたくさんのおかもちが。ときどきお店でみかける「おかもち」に愛着を感じてしまいます。
インテリアではなく、お店の一部。飾りものにはならないくらいの、様々な歴史や思いがここに込められています。
それを販売しようとするなんて、伊勢屋のおっちゃんにひどいことを言ったヤツ!本当に腹立たしい!(怒)
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